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不夜城と呼ばれるこの街もさながらこの一時だけは静けさが漂う。夜明けを待てない輸送トラックが時折、行過ぎるばかり。
やがて東の空が明るみを増し高層ビル群の合間から陽炎のごとく薄ぼんやりと光が差しだすと、幾何かの冷気と静けさが徐々に薄らいでいく。
それを待ちわびていたかのように列車の警笛がかすかに響き静けさを切り裂いた。漁港に帰る夜漁の船・・・

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地下鉄の駅というものには季節感が足りない。汗ばむ初夏の暑い日の筈なのに駅構内には涼しさが漂っている。
新木場方面側の階段を足早に上がると改札口が見えてくる。ユニットICケースをかざし改札機を抜けるとスタンド型AEDも自然に目に止まった。
都会人は往々にして運動不足だと言われるが、あまりそうは思わない。駅の乗り継ぎや構内の複雑な構造を鑑みる・・・

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エレベーターが開きダークスーツに身を包んだ男が一歩足を踏み出すと1階とは想像もつかない光景を目の当たりにした。書類を手にした制服や私服が右往左往入り乱れて足早に行き交う廊下。新参者のその男に目を向ける者など誰一人いない。目的地は自分で探すしかないだろう。ダークスーツの男は眼鏡のブリッジを中指で一度押し上げた後、部屋のプレートをひとつひとつ確認して回っ・・・

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